ローカル列車で日本酒旅 乗り飲み日記

基本は飲んだ酒の備忘録、たまに旅行記。

酒蔵訪問記No.14 小松酒造場/豊潤(大分県宇佐市/2017.09)

18きっぷで熊本~大分を乗り鉄する予定を立て、酒蔵にも行こうと思い、大分県北部で駅の近くにある日本酒蔵を探した。
「豊潤」の小松酒造場が良さそうだったので、酒を買いに行くことに決めた。

「豊潤」は以前札幌の飲み屋で飲んだことがあり、全く知らない銘柄だったので調べたところ、一旦酒造りをやめた酒蔵を2008年に20年ぶりに復活させた蔵だと聞いてずっと気になっていた。
ちなみに以前公式サイトを見た記憶があるのだが、今は消えている模様。

予定を立てた後、札幌で開かれた日本酒イベントで酒蔵の方とお話できる機会があったので聞いてみると、直接販売も見学もさせていただけるとのこと。(見学は要電話予約)

というわけで見学させていただいてきたのであった。

柳ヶ浦駅

ローマ字で書くとUSAの宇佐市
特急ソニック柳ヶ浦駅へ。ちなみに博多から1時間半、大分から40分。大分空港も割と近い。
隣の豊前長洲駅のほうが近いが、普通列車が2時間に1本なので、時間の関係で特急を選んだ。

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駅からはタクシーで数分、800円ぐらい。バスで行けないこともない。

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小松酒造場は以前「勲の松」という銘柄の日本酒を造っており、復活してからは別の名前になったはずとタクシーの運転手さん。そうそう、今は「豊潤」なのよね。
宇佐市の長洲地区には他にも酒蔵があり、以前は日本酒を造っていた蔵もあったが、今は多くが麦焼酎の蔵とのこと。「兼八」の四ツ谷酒造が有名。
実は麦焼酎の蔵にも行って飲ませてもらったのだが、その話はまたの機会に。

小松酒造場

看板が無くて一見分かりにくいが、杉玉が出てたので分かった。

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家族経営の蔵ということで、入るとお母さんが出てこられた。
息子さんに取り次いでもらい、見学させていただく。
酒造りは息子さんが復活させ、今はお父さんとの2人で造っているとのこと。

酒王・勲の松。
昭和40~50年代の最盛期には、三増酒(醸造アルコール・糖類添加の三倍醸造酒)を造って、灘の酒造メーカーに未納税移出(いわゆる桶売り)もしていたそう。当時の地方の中小では当たり前だったことですな。

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蔵は昭和42年の建築。写真はないけど、中には貯蔵タンクやヤブタ式搾り機など。麹室に入らせていただいたり。
2階もあるのだが、今は使っていないという。昔は杜氏さん・蔵人さんもいたというので、往時の活気が偲ばれますな。

今は2人での酒造りなので、一部の設備しか使わず、酒造りの期間も他より長いという。いいよね、こだわりの手作り。

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水は井戸水で中硬水。辛口の酒になるという。麹や水についてはもうちょっと勉強せねば…。

で、試飲させていただいた。

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(1)特別純米 芳醇辛口
→これがスタンダード。日本酒度+14だそうだが、そこまでとは感じず、まさに芳醇辛口だった。

(2)純米吟醸 雄町 生
→県外産の雄町で、流行りの酒っぽくしてみたという。
 甘みがあってなかなか。雄町らしい後味を感じた。

(3)大分三井 無濾過生酒
→大分三井(おおいたみい)という米は、昭和40年代まで飯米として栽培されていたのだが、この蔵と契約農家で復活させたものだという。
 どおりで聞いたことないわけだ。松山三井は知ってたが、大分三井はその親だという。
 地元米の無濾過生酒なんてどう考えたって美味いわコレ。これが「豊潤」の真骨頂じゃないかな。

(4)純米大吟醸
→これも県外産の山田錦とのこと。大分三井の後だとコレジャナイ感が。。。

(5)おりがらみ
→キレのある辛口で美味い。燗でもいけるそう。札幌で飲めるかな、ワクワク。

そして試飲には無かった、大分三井の純米吟醸を買って帰った。飲むのが楽しみだぜ。

つまみに「勝ちえび」なるものをいただいて食べ飲みしたが、これがまた美味い。
長洲名物のようで、帰りに柳ヶ浦駅の売店で売ってたので買って帰った。

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小松酒造場の皆さまありがとうございました。

【No.98】瀧 特別純米 フリーラン

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ブログを始める前に飲んだ酒シリーズ(2015.12)

銘柄読み

たき

酒蔵名

鳴滝酒造(佐賀県唐津市

詳細情報

ちょっと古いのを。 福岡で適当に入った酒屋さんで珍しいのをゲット。
当時は佐賀と福岡の特約店でしか売ってない限定品だと聞いたが、最近は博多阪急でも見たような気がするので手に入りやすくなったのかな。
フリーランとはワインの用語で、搾る前に自然に流れ出たお酒だそう。日本酒で言うとあらばしりということなのかな。ビンもワインみたいでおしゃれ。
メイン銘柄「聚楽太閤」の蔵元。同じ蔵の吟醸「古からつ」を飲んだことがあるものの、あまり印象に残らなかったが、これはどうか。

味について

飲み口が良く、まろやさかもあるが、辛さもある。「聚楽太閤」は甘めだが、これは辛くしてみたとのこと。
熱燗でもなかなかで、まあまあ良かった。

スペック

精米歩合:60% / アルコール度数:16度

お気に入り度

★★★★☆

価格

720ml 1836円

購入場所

福岡県新宮町 酒屋

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日本酒イベント記 SAPPORO SAKE FLEA(北海道札幌市/2017.08)

去年まで「若手の夜明け」という名前で開催されていた、若手の蔵元さんが集まって利き酒ができるイベント。
8/20に開催されたものだが、遅くなったけどレポってみる。

さっぽろテレビ塔

北海道らしい夏の陽気の日。
札幌は大通公園にあるテレビ塔…の貸会議室で開催。

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会場内

10分前に来たが、会場は既ににぎわい。

壁際には蔵元さん。

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真ん中には仕込み水と、自由に飲めるお酒。

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パンフレット

なんと26蔵元が参加。

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試飲タイム

専用のおちょこをもらって試飲開始。
全く聞いたことのない銘柄を中心に。山梨の酒とか滅多に飲む機会がないし。
お酒を買いに行ったことがある酒蔵がいくつかあったので、蔵元の方とお話させていただいたり。
他の蔵元さんとも話したけど、皆さん謙虚でいい方ばかりでした。

途中で知り合いと合って一緒に飲んでたので詳しくメモってないけど、知らない銘柄で気になったのはコレ。
長野県佐久市・伴野酒造「澤の花」。米の旨味がよく出た生酛で、俺の好きな味だった。

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今月は長野県佐久市の近くに行く予定があったので買って来るつもりでいたのだが、行けなくなってしまった。無念。。。。
ちなみに「SAKE FLEA」では試飲だけで、販売はしておらず。
各酒蔵ブースでは蔵元さんのお手伝いをしている酒屋さんや飲み屋の方がおり、札幌近郊で扱ってる店があるということなので、いつかまた出会えるかな。

七本槍」は燗をつけてくれた。これがなかなか良かった。

異彩を放つビンがあった。「北の錦」の北斗随想・純米大吟醸。北斗随想は札幌の酒屋さんで売ってるお店も多いが、ラベルにロゴも絵も無いのがあったとは。

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そして、大分県宇佐市・小松酒造場「豊潤」。
ちょうど大分県北部に行く予定があったので、酒蔵に行ったらお酒を売ってくれるかどうか蔵元さんに聞いてみたところ、OKとのこと。
見学についても、受け付けているが電話連絡が必要とのことだったので、名刺をいただいて後日連絡し、見学させていただけることに。
そちらは後日酒蔵訪問記を上げます。

残念ながらお酒が届いてない蔵元がちらほら。時間指定していたはずなのに配送業者が遅れてるんだそう…。
「仙禽」などは終了30分前ぐらい?に届いた。第1部と第2部に分かれており、第1部の参加だったので辛い。。。

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「紀土」の平和酒造の方が主催のようで、各蔵元を回ってコメントをいただいてた。
青森県陸奥八仙」の蔵元さん:「札幌からフェリーとバスがセットになって八戸まで5000円で行ける『札幌・八戸なかよしきっぷ』があるので皆さん八戸に来てください!」
島根県「出雲富士」の蔵元さん:「8月は新千歳~出雲空港の飛行機が季節運航してるので皆さん出雲に来てください!」
聞きながら(うんうん、それ乗ったことあるよ)と心の中で思いつつ。

ちなみに利き酒イベントだったので、酒を飲まずに口に含んで吐き出せるようになってた。(もったいない…)

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というわけで、1時間半あっという間に終わってしまった。
お酒が飲めるだけじゃなく、蔵元さんと話せる、とっても楽しいイベントでございました。
半分程度の蔵元しか回れなかったのが心残りだったので来年も行こう、うん。

【No.97】特別純米酒 白神山地の四季

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銘柄読み

しらかみさんちのしき

酒蔵名

八重寿銘醸(秋田県大仙市)

詳細情報

2017年8月、秋田で買ってきた7本中の1本目。
詳細はこちら。

味について

まず旨味が来る。旨味があるが軽やかさがあり、後味は程よい辛さ。
多少雑味があるのが気になるとか、もうちょっとパンチが欲しいとか思うけど、全体的に悪くない。
大仙市から遠い白神山地を名乗っていることや、製造元は瓶詰め工場なのでこれは実際どこで造った酒なのか…というのが引っかかってたが、とりあえず満足。

スペック

精米歩合:60% / アルコール度数:15~16度
原料米:美山錦100%

お気に入り度

★★★☆☆

価格

720ml 1272円

購入場所

秋田県大仙市 酒屋

【No.96】特別純米 中山平

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銘柄読み

なかやまだいら

酒蔵名

田中酒造店 大崎蔵(宮城県大崎市

詳細情報

宮城県鳴子温泉の隣にある中山平温泉駅前・倉加屋のオリジナル商品。
HPの情報はちょっと古いけど。http://kurakaya.jp/sake.html
製造元は2016年7月に「宮城ふるさと酒造」から「田中酒造店 大崎蔵」に変わった模様。
http://www.osaki-furu.com/user_data/sake.php
加美町にある「真鶴」の田中酒造店に吸収されたのだと思うが、田中酒造店HPには書かれておらず、調べてもそれ以上の情報は分からず。
http://www.manatsuru.co.jp/

味について

基本スッキリ飲みやすいが、まろやかさと旨味もあり、バランスが取れててなかなか。
燗だと辛さが気になったが悪くない。万人向けの味で誰にでも勧められる。

スペック

精米歩合:60% / アルコール度数:15~16度
使用米:ひとめぼれ100%(中山平産)

お気に入り度

★★★★☆

価格

300ml 680円

購入場所

宮城県大崎市中山平温泉) 酒屋

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表ラベルは「ゆ山平」にしか見えない。

酒蔵訪問記No.13 木村酒造/福小町(秋田県湯沢市/2017.08)

夏の秋田・酒蔵訪問シリーズその4、ラスト。

 

湯沢市には駅から歩ける範囲に酒蔵が3か所あり、前から気になっていた場所だった。本当は湯沢に泊まって全部訪問してみたかったのだが、秋田竿灯まつりと湯沢七夕絵どうろう祭りが重なって、数少ない湯沢の宿は取れず…。
両関・爛漫・福小町の3つの酒蔵から、今回は福小町(木村酒造)を選んで、電話予約のうえ見学させてもらったのであった。

JR湯沢駅

奥羽本線の鈍行列車に揺られて湯沢駅へ。湯沢市湯沢駅について調べようとすると越後湯沢のほうばっかり出てくる問題。
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酒米の里・酒のまち湯沢。湯沢は秋田県内でも有数の酒米の産地なんだそうな。

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木村酒造

駅からは700~800m程度と近いけど、暑かったのでタクシーで。

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七夕祭り開催中。酒蔵の目の前の道路は通行止めになってた。タクシーには裏から入ってもらった。

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中はこんな感じ。

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お酒を買うだけなら予約不要。

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試飲もさせてくれるはず。

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さて今回は見学。
木村酒造は、戦国時代末期、豊臣方の木村長門守重成の一族がこの地で酒造りを始めたことにルーツを持ち、400年の歴史があるそう。
「男山」→「福娘」と酒銘の変遷を経て、現在のメイン銘柄は「福小町」となっている。湯沢は小野小町のゆかりの地でもあるという。
各地の男山について調べた資料や、昔の湯沢の写真、秋田の酒米などの展示を見学し、いよいよ蔵へ。

 

蔵は一部増築で新しい部分もあるが、かなり年季が入っている。
写真はこの蔵しかないけど…この入口は味があるなあ。

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中にあるのは貯蔵タンク。ちなみに石数は1000石だそう。

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高級酒の瓶火入れに使う設備など、いろいろ見せていただいた。
温度が違う2つの冷蔵倉庫もあった。高級酒はより低温で…とか、酒によって温度帯が違うわけで。
温度といえば、冬場はかなり冷え込むので、酒造りの温度管理には気を遣うという。やはり秋田なので雪も多いとのこと。2mぐらいだったかな、札幌よりも多いかもしれん。

最後には受賞歴が飾ってある部屋。福小町の大吟醸が、IWC(インターナショナルワインチャレンジ)2012で金賞受賞だという。
IWCといえば「鍋島」が金賞取ってから有名になった賞ですな。
案内してくださった方(蔵元さん?)が「また取りたいなあ~」と言ってたのが印象的だった。

 

見学が終わって、試飲タイムなり。まずは純米系。真ん中の青いのは雄町。雄町雄町しすぎず飲みやすかった記憶。左の蔵元限定酒は買って帰ったぜ、飲むのが楽しみだグフフ。

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こちらは大吟醸系。左のがIWC受賞のほう。ただスッキリ飲みやすいだけの大吟醸ではなかった記憶。

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ちなみに福小町の他に、角右衛門という銘柄もある。
前日に大曲の居酒屋に置いてあって、知らない銘柄だと思って頼んだが、福小町と同じ蔵の酒だと後で知ったのであった。
こっちは特約店限定販売で、蔵元に行っても売ってない。
角右衛門の精米80の純米。精米80とは思えないスッキリさだった。

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で、売店でグラスを買って帰るのであった。ありがとうございました。

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【No.95】蘭の舞 純米酒 しぼりたて 無濾過生原酒

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銘柄読み

らんのまい

酒蔵名

山根酒造店(鳥取県鳥取市

詳細情報

室蘭の酒本商店のオリジナル商品。
室蘭の米を使って、鳥取の「日置桜」の酒蔵で造ったもの。春に出たしぼりたてのラスト1本だった。(6月に購入)
なぜ鳥取の酒蔵?となってしまうが、室蘭・函館といった道南地方には日本酒蔵は存在しないし、「酒は純米、燗ならなお良し」的なところを目指すならこうなるのかなーって。(北海道の二世古酒造で造ったオリジナル商品もあるけど)
酒米の銀坊主って初めて聞いた。「コシヒカリ」「ササニシキ」などの祖先にあたるという。
https://www.jataff.jp/senjin4/8.html

味について

飲み口はスッキリ爽やかフルーティー。程よい辛さもあるが、力強さ・しっかりさを感じる。そして酸がガツンと来る濃厚さ。さすが日置桜。
最後にスッと抜けていく香りがあるが、これが裏ラベルに書いてあった「糀の香り」なんだろうか。
無濾過生原酒だが度数は16度と低め。飲みやすいほうではないが、無濾過生原酒としてはグイグイいけてしまう。もちろん燗でもいける。こういうのを北海道弁で「飲まさる」というのだ。。。

スペック

精米歩合:65% / アルコール度数:16度
原料米品種:強力(24%)、銀坊主(76%)
日本酒度:+7
酸度:2.7
酵母:協会7号

お気に入り度

★★★★☆

価格

720ml 1620円

購入場所

北海道室蘭市 酒屋

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